FPの勉強内容で、過去に自分で体験した出来事が出てきて理解しやすかった場面がいくつかありました。そのなかの1つ、不動産分野の空き家売却について書いていこうと思います。
私は現在、高齢になった実母と同居しています。
母はずっと専業主婦で、父が早くに亡くなった後も働きには出ず、遺族年金と貯蓄そして田舎にあった中古一戸建ての賃貸料で私を育ててくれました。
贅沢な暮らしこそ出来ませんでしたが、今思えば、母が働かずに暮らせていたことは、とても恵まれていたのだと思います。
その田舎の中古一戸建ては、私が幼少期の数年間だけ家族で暮らしていたのですが、父の転勤の為にその土地から離れることになり、それ以降一度も私達家族は住むこと無く、個人契約で数年前まで借家として貸し出していました。
少額でしたが、何十年も家賃収入があり助かっていたのですが、ずっとこのままではいられない状況になりました。
借家の手続きに長年協力していただいていたご近所の方も高齢になり、これ以上負担をおかけするのは申し訳ない状況。
中古一戸建て自体の老朽化が激しく、最後の住人が退去した後にこれ以上リフォームして維持するのも難しい。
母も私も、その土地を離れて以降、一度も様子を見に行けておらず、自分達だけでは借家を維持することは難しい。
空き家のまま放置していては防犯上ご近所にご迷惑をおかけする。
最後の住人が退去してすぐに、母と相談して売却に向けて動き出すことにしました。
この家の名義は母です。
しかし業者とのやり取りは高齢の母には難しいので、娘の私が代理で行い、その都度母の許可を得て進めることにしました。
中古一戸建ての近所にある不動産会社に連絡して、3ヶ月更新の媒介契約を結び、最初は土地建物セットで売却の広告を出しました。
しかし、買い手がつかないまま数ヶ月経過。少しずつ値段を下げていきましたが、それでも買い手は見つかりません。
不動産会社の話によると、建物が古すぎて外見を見ただけで断られてしまうそう。建物を解体して土地のみの売却にした方がいいかもと助言を受け、そこから土地のみの売却に変更しました。
土地のみ売却に変更してから1ヶ月ほどした頃、買い手が現れました。
建物はこちらで解体する条件で、まずは手付金契約を結ぶことになりました。もちろん母にも話して了承済みです。
手付金は50万円、その中から不動産会社への仲介料を差し引いた金額が母の口座に入金されました。
後は、最終契約に関する書類が数日後に郵送されてくるので記名押印して返送すれば契約完了です。
ですが、届くまでの数日の間に事件が起きました。
なんと、母が「やっぱり売りたくない」と言い出したのです!
母の意思確認はその都度してたのに、いきなり売りたくないだなんて信じられません!
理由を聞くと、「売却価格が安すぎる」「解体費用が高い」と最初は言っていましたが、だんだんと理由がおかしくなってきて、「この職業の人には売却したくない」「気乗りがしない」「精神的におかしくなるから辞める」と、どんどん話が変わっていきます。
手付金を既に受け取っているので、ここでキャンセルしたら、倍額の100万円を支払うことになり、不動産会社へ支払った手数料も戻ってこないと伝えても、母の意思は変わりません。
ならば、キャンセルしたいと自分で不動産会社に話して欲しいと伝えましたが、手続きしていたのはKekoなのだから、最後まで手続きしてくれと言うのです。
数日間、大喧嘩を繰り返したのですが、感情で「嫌なものは嫌」となってしまった母の意思は変えられず、結局私が自分側の不動産会社や買い手側の不動産会社と話をして謝罪し、手付金倍額の100万円を買い手側に支払い➕既に渡した仲介手数料は戻ってこないということで、契約キャンセルとなりました。
FPの不動産分野の勉強している時に、手付金の話が出てきて「そうそう!売り手側からのキャンセルは倍額支払いなのよ〜!」と当時を思いましました。
契約キャンセルから数年の間に、何度か買い手が現れて、その都度母に聞いてみましたが、「自分が生きてるうちは売らない」そうで、空き家のまま放置される状況が続きました。
これはもう、母がいなくなった後に手続きすることになるんだろうなと諦めていた時、急展開の出来事が起こります。